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国立新美術館 ルノワール展(2016.06.01)

あまりに混んでた「若冲展」の余韻がまだ残っているのですが、国立新美術館の「ルノワール展」を観てきました。
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オルセー美術館とオランジュリー美術館が所蔵する100点余りの絵画や彫刻、デッサン、パステル、資料が展示されています。見どころは日本初公開となる「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」。
日本初公開といっても、実は、知る人ぞ知る、大昭和製紙会長であったS氏が個人的に購入し、ある時期、日本に来ていたルノワールの最高傑作。
*亡くなった時には、一緒に棺桶に入れてもらいたいとのS氏の発言がヒンシュクを買いました。人類の宝を独り占めしちゃダメですよね。
それと、「都会のダンス」、「田舎のダンス」という2作品が、揃って45年ぶりの来日です。

では、幸福の画家、ルノワールの作品を楽しむとしましょう。

まずは第1章 印象派へ向かって
モネやシスレーと出会い、印象派という新しい絵画を志すようになったルノワール。この章では2作品が展示されていました。
「猫と少年」1868年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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ルノワールの少年の絵って、珍しくないですか?猫、可愛いですね。

2章 「私は人物画家だ」:肖像画の制作
ルノワールお得意の人物画が並ぶコーナー。
薔薇色の頬の「読書する少女」もよかったですが、「ヴェールをつけた若い女性」1875‐76年 油彩/カンヴァス オルセー美術館に惹かれました。
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ロマンチックな絵と思われませんか?

3章 「風景画家の手技(メチエ)」
1870年代には、油彩作品の1/4を風景が占めるようになります。簡単に持ち運び出来る「チューブ絵の具」が開発され、鉄道網の発達が後押しして、画家達は気軽に郊外で写生ができるようになったんです。
風景画=戸外での制作に没頭するルノワール。
「草原の坂道」1875年頃 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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個人的にこの美術展で一番気に入った作品です。ただの風景画ではなく、人物を配しているところが好きです。色彩も豊か。ほんとに散歩したくなるような道。いいなぁ。
「イギリス種の梨の木」1873年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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こちらも素敵でした。やはり、人物を配した風景画。ぼぉっとした柔らかな筆使いがなんとも。豊かな緑が目に優しいです。

4章 「現代生活」を描く
19世紀のパリ生活を描いた作品。モンマルトルの庭やセーヌ河畔での余暇など。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」1876年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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あまりに有名な絵すぎて、本物ではありますが、何故かあまり感動がありませんでした。
見すぎたから?(>_<)
10年程前、六本木ヒルズの森美術館でフィリプスコレクションの「舟遊びをする人々の昼食」を観た時は、大感動したんですけどね。。。
でも、木漏れ日の中、楽しげにくつろぐ人々。群集のささやきやら音楽やらが聞こえてきそうで...。ほんとによく描かれた大作ですよね。
同じ理由で、下の2作品も、感動、味わえませんでした。(>_<)
「都会のダンス」1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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「田舎のダンス」1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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この章で、印象に残ったのは、ベルト・モリゾ(1841‐1895)の作品。
「舞踏会の装いをした若い女性」1879年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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儚げな感じがしたんです。ハッと惹かれました。

5章 「絵の労働者」:ルノワールのデッサン
熱心にデッサンにも取り組んだルノワール。この地道な修練が絵の労働者という表現を生みました。

6章 子ども達
子どもを描いた作品。注文絵画と自発的に描いた自らの子ども達の作品。
「ジュリー・マネ」あるいは「猫を抱く子ども」1887年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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ジュリーはベルト・モリゾと画家マネの弟・ウジェーヌ・マネの子ども。この時9歳だったそうです。この作品を生涯大切にしたと、説明が添えられていました。
美術展の最初の作品の猫とこの猫、可愛かったです。(でも、藤田嗣治の猫の方が好みかな)

7章 「花の絵のように美しい」
花の絵=美の基準 薔薇の絵は女性の肌の質感を描く際のエチュード=勉強になったのだとか。

8章 「ピアノを弾く少女たち」の周辺

9章 身近な人たちの絵と肖像画
ルノワールの作品のモデルは身の周りにいる人物。ゆったりとした形と入念な彩色。ルノワールの後年の特徴が見てとれます。
ルノワールは多くの画家たちに直接・間接に大きな影響を与えたということですが、この章では、ピカソ(1881-1973)の作品が展示されていました。
「白い帽子の女性」1921年 油彩/カンヴァス オランジュリー美術館
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ルノワールが描いた女性像に見てとれる、肌の豊かな質感とボリュームに影響を受けたとありました。ピカソにしては、珍しく穏やかで落ち着いた絵。ピカソはルノワールの作品を自身でも数点購入していたそうです。

10章 裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」
晩年、ルノワールは再び裸婦像を手がけるようになりました。
「浴女たち」1918-19年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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リューマチが酷くなり、絵筆も容易に握れなくなった、その彼が描き出したのが、見るからに健康そうな、優しく穏やかな雰囲気の女性たち。ルノワール絵画の集大成でしょうか。

ルノワール展、混み具合はまぁまぁでした。入口で並ぶなんてことありません。
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作品の前でも、比較的楽に観賞出来ました。会期も長いからかしら。 4/22~8/22(月)
誰もが知っている、親しみやすいルノワールの作品、安心感があります。楽しいひとときを過ごせました。
Commented by desire_san at 2016-07-13 16:09
こんにちは。
私もルノワール展を見てきましたので、作品の画像やご説明を読ませていただき、ルノワールの絵画の美しい色彩や光の表現、絵画魅力などを追体験させていただきました。
初期の作品から晩年の裸婦の傑作までルノワールの生涯の作品が展示されており、ルノワール絵画の全貌を知ることができてよかったと思いました。ルノワールの最高傑作と言われる『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』には人々の生きる喜びがあふれていて大変感動しました。


今回のルノワール展からルノワールの絵画の魅力となぜルノワールの絵画が見る人を魅了するのかと、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌとの芸術の本質的の違いを考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。

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by b_neige | 2016-06-01 20:08 | 展覧会など | Comments(1)

フランス語は趣味です。フランス人に日本語を教えていましたが’17.6月より中断中(教師歴14年)。 鎌倉歴はある方に言わせると初心者だそうで...。(汗)


by b_neige(しらゆき)