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鎌倉国宝館ー音からみた鎌倉のかたち(2017.08.16)

久しぶりの国宝館でした。
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楽器を持った仏像、音が出る仏具、音楽に合わせて踊る場面を描いた絵画など、音にかかわりのある文化財の特集だそうです。
パンフレットにもある、鶴岡八幡宮の旗上弁才天に以前お祀りされていたという木造・裸形彫刻の弁才天像を拝見したかったのです。

そして、拝見しましたよ!
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琵琶を抱くお姿。
像高98cmということでしたが、ほんと意外と大きいのにびっくりしました。
裸形彫刻というのは、鎌倉時代の特徴の一つ。裸形の仏さまをお造りして、衣を着せ替え、生きている仏さまのようにありがたく信仰するというもの。他にも、延命寺の身代わり地蔵、薬王寺の日蓮聖人、青蓮寺の鎖大師、江ノ島の裸弁才天など、数体見られます。

こちらの弁才天像は鶴岡八幡宮の舞楽師であった中原朝臣光氏という方が舞楽院に奉納したと伝わります。
(中原朝臣光氏の墓所は逗子の神武寺)
ふくよかなお顔立ち、お会い出来てよかったです。

あとは、舞楽面が2面。「陵王」と「貴徳鯉口」です。鶴岡八幡宮には5面の舞楽面と1面の菩薩面が現存しています。吾妻鏡にも舞楽の記載があります。往時は盛大に披露されていたんですね。
この「陵王」面でしたっけ、金沢八景の瀬戸神社にあるものと酷似しているそうです。
cf : 金沢八景 瀬戸神社ー琵琶島神社(2016.06.17)

それと、明月院に伝わる木造漆塗の明月膳とお椀。(これは、音には関係ないかと)
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展示してあったので、驚きました。いつだったか、東慶寺の宝蔵で名宝展があった時、明月碗が出品されていたんですけど、見逃してしまって...。だから、びっくり。ここで遭遇、ラッキーでした!
螺鈿がとても華やかで、朱塗りと良くマッチして、ほんとに素敵。(唐草模様のお膳も美しかったです)

英勝寺の龍虎図屏風(江戸時代)1双、同じく、善光寺縁起絵巻(江戸時代)も、さすが英勝寺、所有しているものが違うと、感心しきり。

常設展示の仏さま達も、ありがたく拝ませていただきました。
浄智寺の地蔵菩薩(別名、聖比丘ひじりびく地蔵)、建長寺の宝冠釈迦如来、昌清院の十一面観音菩薩、寿福寺の地蔵菩薩などは、個人的に好きな仏さま達です。

なかなか楽しめた企画展でした。8月27日(日)まで(月曜休館)。
by b_neige | 2017-08-17 17:40 | 展覧会など | Comments(0)

東京国立博物館 平成館 特別展「禅 心をかたちに」(2016.11.15)

早朝日本語レッスンで都内へ出たついでに、上野の東京国立博物館(平成館)で開催されている特別展 (臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念)「禅-心をかたちに」を観てきました。
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展覧会の構成になります。(国宝22件、国重文102件)
第1章:禅宗の成立
禅宗は中国で成立。初祖は達磨。臨済義玄(?-867)を宗祖とする臨済宗は、その下にさまざまな門派が次々と興起し、今日の臨済宗十四派および黄檗宗につながっていきます。

国宝「慧可断臂図(えかだんぴず)」
雪舟等楊筆 室町時代 明応5年(1496)(愛知・齊年寺蔵)
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坐禅をする達磨に向かい、神光(のちの慧可)という僧が弟子となるために、己の左腕を切り落とす場面を描いたもの。雪舟77歳の大作。

第2章:臨済宗の導入と展開
日本に禅宗が導入されるのは鎌倉時代から。室町時代には南禅寺を頂点とする五山派が全盛期を迎えますが、応仁の乱後、幕府が弱体化し衰退。代わりに五山派に属さない大徳寺派や妙心寺派が興隆します。江戸時代には、新たに中国から臨済宗の一派である黄檗宗が伝わりました。臨済宗の本山14ヵ寺と合わせて「臨済・黄檗15派」と呼ばれています。

国宝 鎌倉・建長寺の蘭渓道隆による墨跡「法語規則」鎌倉時代13世紀
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久しぶりに拝見しました。小さな細かい字できちんとしたためられた「法語」と「規則」です。

重要文化財 「蘭渓道隆坐像」鎌倉時代・13世紀(神奈川・建長寺蔵)
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この坐像、実際に拝見するのはお初です。建長寺の宝物風入れでもお目にかかっていないと思います。普段は建長寺の開山堂に祀られているんです。あそこ、拝観不可ですものね。ただ、建長寺総門をくぐった拝観受付では、この坐像の絵はがきが置かれています。その絵はがきだと、こんな風。
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漆が濃く塗られているでしょう?現在のお姿はこの絵はがきとは、大分感じが異なります。あれぇと思ってしまいました。2年にわたる修復を終えての、初公開だそうです。(表面の漆をはがしたところ、眉間や目尻、頬のしわが現れ、リアルな姿を取り戻されたとか)
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他に鎌倉関係では建長寺の北条時頼坐像(こちらは、宝物風入れでお馴染みです)も展示されていました。
この章では臨済宗、黄檗宗の15本山が、全て紹介されています。(それぞれの開山さまの肖像画も)

第3章:戦国武将と近世の高僧
戦国時代の武将たちは、禅僧に帰依して指導を受けたり、戦略の相談をしたり、また他の武将との交渉役を任せることもあったそうです。近世になると、白隠慧鶴(1685‐1768)、僊厓義梵(せんがいぎぼん)(1750‐1837)は禅画を描いて、民衆への布教を行いました。(白隠は、臨済宗中興の祖とされます)

こちら、国重文「豊臣秀吉像」西笑承兌賛 狩野光信筆 安土・桃山時代 慶長4年(1599)(愛媛・宇和島伊達文化保存会)
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白隠最晩年の傑作 「達磨像」 江戸時代18世紀(大分・萬壽寺)
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こちら、パンフレットにもありますが、すごいでしょう?会場に入ってすぐの場所に展示されていました。白抜き文字は、「直指人心 見性成仏(経説によらずに坐禅によって心の本性を見きわめ、人の心と仏性とが本来一つであると悟って仏道を完成させる)」という達磨の宗旨です。

第4章:禅の仏たち
仏像、仏画、経典などが展示されています。建長寺の伽藍神五体もありましたよ。
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第5章:禅文化の広がり
禅僧たちは、禅の思想だけではなく、日本の文化に大きな影響を与えました。水墨画をはじめとする書画、工芸品、喫茶の風習など。

国宝 瓢鮎図(ひょうねんず)
大岳周崇等三十一僧賛 大巧如拙筆 室町時代初期 15世紀 (京都・退蔵院蔵)
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禅に傾倒した室町幕府第四代将軍、足利義持(あしかがよしもち)が「丸くすべすべした瓢簞(ひょうたん)で、ぬるぬるした鮎(なまず)をおさえ捕ることができるか」というテーマを出して、絵を如拙(じょせつ)に描かせ、詩を五山の禅僧たちに詠ませたもの。

国宝 玳玻天目(たいひてんもく)
吉州窯 中国・南宋時代 12世紀(京都・相国寺蔵)
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 玳玻(たいひ)とは釉が鼈甲の様子に似ていることから。中国の吉州窯で焼かれたもの。梅花天目とも称されています。

国重文 長谷川等伯筆 「竹林猿猴図屏風」(画像は一部)安土桃山時代 16世紀 (個人蔵)
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感想:
さほど混んでいません。ゆっくり自分のペースで鑑賞出来ます。2時間位いたでしょうか。
第2章では、臨済・黄檗宗の本山が全て紹介されているのですが、あまりのボリュームにちょっと疲れました。知っているお寺だと興味があるのですが、全く知らないお寺だと、どうも…。
また、第3章の戦国武将と高僧のつながりですが、大勢のお坊さんが登場します。鎌倉時代の次は室町時代、戦国時代、江戸時代と日本の歴史は続いていくわけで...。(勉強不足が露呈しました~)

禅とは?
「坐禅(ざぜん)や禅問答(ぜんもんどう)を通して、自分を見つめること。見返りを求めない。心を整理して、とらわれない、執着しない。一つ一つのことを大事に、大切に。」
う~ん、深いですね。
by b_neige | 2016-11-16 16:39 | 展覧会など | Comments(4)

金沢文庫 生誕800年記念 特別展「忍性菩薩 関東興律750年」(2016.11.13)

今度は間違えずに、金沢文庫で開催されている生誕800年記念の特別展「忍性菩薩-関東興率750年-」に行ってきました。
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こちらは、称名寺境内。
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かなり秋バージョンではあります。でも、全体的にはまだまだ。境内には公孫樹の樹が多いのですが、一部黄葉を始めてるかな、といった感じ。

境内から、現代の隧道を抜けて、2時ちょっと前に会場到着。
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2時からのボランティアさんによる展示解説ツアーへ。(総勢20名ほどでした)

まずは、掛け軸になった忍性菩薩の頂相。
2幅ありました。奈良(忍性は奈良に生まれ、東大寺で出家。23才の時、西大寺を中心に活躍していた叡尊に出会い、弟子入り。関東へ活動の場を移したのは40才以降)の大福田寺のものと、こちらの称名寺収蔵のもの。
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忍性さんのお顔の特徴は大きな赤い団子鼻であります。
(忍性さんは真言律宗のお坊さんですが、禅宗のような頂相風の掛け軸なんですね)

それでは、多分この特別展の目玉の一つである、忍性菩薩坐像(称名寺所蔵)をご紹介しましょう。
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大きな団子鼻が目立ちますね。慈悲深く優しそうな風貌です。
会場には、この忍性菩薩坐像とほぼ同じ大きさと思われる、忍性の師・叡尊(興正菩薩)の坐像もありました。こちらも大きな鼻。忍性さんと違うのはたれ眉でした。
忍性菩薩像の横には、極楽寺の大きな五輪塔の中に納められていたという骨蔵器も置かれていました。(極楽寺所蔵)銘文入りです。忍性の遺骨は本人の遺言により三分され、奈良の額安寺、竹林寺、そして、鎌倉・極楽寺に埋葬されました。(ガイドさんから、それぞれのお墓、骨蔵器の写真を見せていただきました)

次に、忍性菩薩が、鎌倉に招かれる前、常陸三村の三村山清涼院極楽寺(茨城県つくば市三村)を拠点に活動しており、おそらく開眼法要に携わったのだろうと考えられる蔵福寺の阿弥陀三尊像を拝見しました。画像がなくて残念ですが、大変美しい仏さま。脇侍の観音・勢至菩薩が優美でした。

阿弥陀三尊の隣には茨城県・観音寺の如意輪観音様が置かれていて、真言律宗では聖徳太子信仰があり、聖徳太子と如意輪観音が同一視されていることを教えていただきました。

このコーナーの古文書で印象に残っているのは、後醍醐天皇が忍性に菩薩号を与えた勅書写。極楽寺所蔵となっていました。お初でした。また、忍性さんの書状も何通か、並べられていました。

必見だったのは、極楽寺のほら、転法輪印を結ぶお釈迦様。極楽寺の、今はもうない多宝塔に祀られていたとのこと。
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このお釈迦様のお手には民衆を救い上げるということで水かきが見られます。画像ではどうかな。ちょっと見辛いでしょうか。

そのお隣、文殊菩薩坐像。(極楽寺所蔵)
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お初でした。
文殊菩薩は知恵の仏ですが、同時に下層階級の人々を救う仏でもあり、非人や癩病患者=文殊菩薩の化身と見なされたそうです。これらの人々を救う活動こそが、解脱への道であり、忍性、叡尊らは、こうした弱者を救うことで、自らも救われるという運動を起こしたのです。

さて圧巻は極楽寺所蔵の清涼寺式釈迦如来立像+十大弟子像と称名寺所蔵の清涼寺式釈迦如来立像+十大弟子像。

極楽寺のこのお釈迦様は最初のパンフレットをご参照下さい。それと、もう一枚、横からの画像。
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そして、称名寺のお釈迦様。
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(称名寺のお釈迦様の方が年代が10年ほど後)螺髪ではなく、縄目状の御髪、流れるような衣紋は共通です。
お顔の感じはどうでしょう?極楽寺の方がほっそりすっきりしたお顔立ちに見えますよね。対して、称名寺の方は少し大陸的な感じ。(ただ、清涼寺のお釈迦様に似ているのは称名寺の仏さまだそうです)

十大弟子に関しては、どのお像がどなたか、という説明はありませんでした。私が知っているのは、般若心経に登場する舎利子と、ハンサムだという阿難陀さん。(^^;) 

忘れてはいけないのが、奈良の唐招提寺所蔵という、東征伝絵巻(一部)。忍性菩薩が関東での活動の集大成として、鎌倉で編纂に当たり、唐招提寺に寄進しました。
日本に律宗を伝えた唐僧・鑑真の伝記を絵巻化したものになります。展示されていたのは巻2。海難事故で海に投げ出されている鑑真和上が確認出来ました。

その他、聖徳太子の南無仏像(2才像)やら、六波羅探題の制札やら、足利尊氏の制札やら。

ガイドさんのご説明はなんと、2時から3時10分まで。とても判りやすくて、自分一人で鑑賞するよりずっと、ずっとよかったです。
また、極楽寺の清涼寺式釈迦如来立像と十大弟子、転法輪印のお釈迦様は極楽寺の収蔵庫で2度ほど拝見したことありましたが、こちらの展示会での方がライトの関係もあるのでしょう、隅々までよく見え、嬉しかったです。

忍性さんが鎌倉の拠点とした極楽寺と称名寺は、兄弟のような寺院となって共に活動しました。忍性は87才で入寂します。その多大な功績から、あこがれていた行基菩薩と同様、「菩薩」号を贈られ、「忍性菩薩」と呼ばれることになりました。
by b_neige | 2016-11-14 16:11 | 展覧会など | Comments(0)

鎌倉国宝館 仏像入門~ミホトケをヒモトケ~(2016.08.31)

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鎌倉国宝館の夏休み恒例イベント、「仏像入門~ミホトケをヒモトケ~」を鑑賞。(会期は9/4まで)
印象に残った仏さまは、浄智寺の地蔵菩薩坐像(国重文)です。

いつだったか、有志会で二十四地蔵尊巡りをして(もっとも、私は4回のうち3回のみの参加でしたが)、リーダーが残りの浄智寺のお地蔵様は国宝館寄託なので、機会があったら行ってみてねとおっしゃっていたこと思い出しました。
cf : 有志会 二十四地蔵尊めぐり(2013.04.18)
cf : 有志会 二十四地蔵尊めぐり(2013.04.18 part2)
cf : 有志会 二十四地蔵尊めぐり2(2013.08.10)
cf : 有志会 二十四地蔵尊めぐり2(2013.08.10 part2)
cf : 有志会 二十四地蔵尊めぐり4(2015.04.02)
cf : 有志会 二十四地蔵尊めぐり4(2015.04.02 part2)

この浄智寺の木造地蔵菩薩坐像、聖比丘地蔵とも呼ばれます。先ほど記しましたが、鎌倉二十四地蔵尊の一つ(第12番)。画像、ないんですよ。残念。<(_ _)>
端正で上品なお顔立ち、穏やかな表情に見とれました。国宝館でどうぞご覧になって下さいね。

あと、頭の形がユニークな寿福寺開山、栄西像。
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栄西禅師はとても頭がいいけれど、少々人と違う外見をなさっていたようで、それが頭の形で表現されているのでしょうか?

上の栄西像のように、身につけてらっしゃるお衣が下に垂れている様(法衣垂下=ほうえすいか)は鎌倉時代の仏像の特徴でもあります。
浄智寺の韋駄天立像などにも用いられた土紋(鎧の裾)もまた然り。
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土を型抜きにしたものを像の表面に貼り付ける装飾技法で、鎌倉時代に中国から伝来したそうです。

絵画部門で、国宝が一点出展されていました。光明寺の紙本著色当麻曼荼羅絵巻です。(部分)
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鑑賞のポイントとして、仏像の種類(如来、菩薩、明王、天部)の説明やらもあって、夏休みの子供達にもわかりやすかったと思います。国宝館はそんなに広いスペースじゃないから、鑑賞は楽だしね。
素敵な仏さま達にお会い出来ました。

さて、外に出たらもう夕方。
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源氏池のハスがずいぶん大きくなって、よ~く見ると、果托があちこちに。今年の夏もいよいよ終盤ですねぇ。

おまけをどうぞ。北鎌倉燻煙工房の燻製醤油ソフトクリームです。
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一度試してみようと思って。
スモークの薫り、ほのかに感じられます。お醤油も確かに。コーンはサクサク、あっさり系。
う~ん、もちろん美味しいです、きらいじゃありません。新しいテイスト。コーンとの相性もいいし、よく考えられているなぁと感心しました。
皆さん、是非一度お試しあれ。(^^)/
by b_neige | 2016-09-02 06:47 | 展覧会など | Comments(2)

国立新美術館 ルノワール展(2016.06.01)

あまりに混んでた「若冲展」の余韻がまだ残っているのですが、国立新美術館の「ルノワール展」を観てきました。
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オルセー美術館とオランジュリー美術館が所蔵する100点余りの絵画や彫刻、デッサン、パステル、資料が展示されています。見どころは日本初公開となる「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」。
日本初公開といっても、実は、知る人ぞ知る、大昭和製紙会長であったS氏が個人的に購入し、ある時期、日本に来ていたルノワールの最高傑作。
*亡くなった時には、一緒に棺桶に入れてもらいたいとのS氏の発言がヒンシュクを買いました。人類の宝を独り占めしちゃダメですよね。
それと、「都会のダンス」、「田舎のダンス」という2作品が、揃って45年ぶりの来日です。

では、幸福の画家、ルノワールの作品を楽しむとしましょう。

まずは第1章 印象派へ向かって
モネやシスレーと出会い、印象派という新しい絵画を志すようになったルノワール。この章では2作品が展示されていました。
「猫と少年」1868年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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ルノワールの少年の絵って、珍しくないですか?猫、可愛いですね。

2章 「私は人物画家だ」:肖像画の制作
ルノワールお得意の人物画が並ぶコーナー。
薔薇色の頬の「読書する少女」もよかったですが、「ヴェールをつけた若い女性」1875‐76年 油彩/カンヴァス オルセー美術館に惹かれました。
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ロマンチックな絵と思われませんか?

3章 「風景画家の手技(メチエ)」
1870年代には、油彩作品の1/4を風景が占めるようになります。簡単に持ち運び出来る「チューブ絵の具」が開発され、鉄道網の発達が後押しして、画家達は気軽に郊外で写生ができるようになったんです。
風景画=戸外での制作に没頭するルノワール。
「草原の坂道」1875年頃 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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個人的にこの美術展で一番気に入った作品です。ただの風景画ではなく、人物を配しているところが好きです。色彩も豊か。ほんとに散歩したくなるような道。いいなぁ。
「イギリス種の梨の木」1873年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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こちらも素敵でした。やはり、人物を配した風景画。ぼぉっとした柔らかな筆使いがなんとも。豊かな緑が目に優しいです。

4章 「現代生活」を描く
19世紀のパリ生活を描いた作品。モンマルトルの庭やセーヌ河畔での余暇など。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」1876年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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あまりに有名な絵すぎて、本物ではありますが、何故かあまり感動がありませんでした。
見すぎたから?(>_<)
10年程前、六本木ヒルズの森美術館でフィリプスコレクションの「舟遊びをする人々の昼食」を観た時は、大感動したんですけどね。。。
でも、木漏れ日の中、楽しげにくつろぐ人々。群集のささやきやら音楽やらが聞こえてきそうで...。ほんとによく描かれた大作ですよね。
同じ理由で、下の2作品も、感動、味わえませんでした。(>_<)
「都会のダンス」1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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「田舎のダンス」1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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この章で、印象に残ったのは、ベルト・モリゾ(1841‐1895)の作品。
「舞踏会の装いをした若い女性」1879年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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儚げな感じがしたんです。ハッと惹かれました。

5章 「絵の労働者」:ルノワールのデッサン
熱心にデッサンにも取り組んだルノワール。この地道な修練が絵の労働者という表現を生みました。

6章 子ども達
子どもを描いた作品。注文絵画と自発的に描いた自らの子ども達の作品。
「ジュリー・マネ」あるいは「猫を抱く子ども」1887年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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ジュリーはベルト・モリゾと画家マネの弟・ウジェーヌ・マネの子ども。この時9歳だったそうです。この作品を生涯大切にしたと、説明が添えられていました。
美術展の最初の作品の猫とこの猫、可愛かったです。(でも、藤田嗣治の猫の方が好みかな)

7章 「花の絵のように美しい」
花の絵=美の基準 薔薇の絵は女性の肌の質感を描く際のエチュード=勉強になったのだとか。

8章 「ピアノを弾く少女たち」の周辺

9章 身近な人たちの絵と肖像画
ルノワールの作品のモデルは身の周りにいる人物。ゆったりとした形と入念な彩色。ルノワールの後年の特徴が見てとれます。
ルノワールは多くの画家たちに直接・間接に大きな影響を与えたということですが、この章では、ピカソ(1881-1973)の作品が展示されていました。
「白い帽子の女性」1921年 油彩/カンヴァス オランジュリー美術館
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ルノワールが描いた女性像に見てとれる、肌の豊かな質感とボリュームに影響を受けたとありました。ピカソにしては、珍しく穏やかで落ち着いた絵。ピカソはルノワールの作品を自身でも数点購入していたそうです。

10章 裸婦、「芸術に不可欠な形式のひとつ」
晩年、ルノワールは再び裸婦像を手がけるようになりました。
「浴女たち」1918-19年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
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リューマチが酷くなり、絵筆も容易に握れなくなった、その彼が描き出したのが、見るからに健康そうな、優しく穏やかな雰囲気の女性たち。ルノワール絵画の集大成でしょうか。

ルノワール展、混み具合はまぁまぁでした。入口で並ぶなんてことありません。
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作品の前でも、比較的楽に観賞出来ました。会期も長いからかしら。 4/22~8/22(月)
誰もが知っている、親しみやすいルノワールの作品、安心感があります。楽しいひとときを過ごせました。
by b_neige | 2016-06-01 20:08 | 展覧会など | Comments(1)

東京都美術館 若冲展(2016.05.02)

東美の若冲展に行ってきました。
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チケットは持っていたのですが、並びました~。最後尾90分待ちのプラカードが出ていて...。(+o+)

先週、TVで関連番組もあったし、評判なんですね。混雑必至。でも、並んでみると、さすがに90分ではなく、70分で入場できましたよ。さほど変わりません?(^^ゞ
並んでいる時、日影がないので、日傘の貸し出しがありました。それでも、立ち尽くめ70分で、中に入ってからももちろん混雑、人、人、人。いささか辛かったです。
ご参考までに、並び始め11:52、展覧会を観終わって、お茶を飲み、外に出たのは、16:02でした。

この美術展、若冲(1716-1800)の生誕300年記念だそうです。(初期から晩年までの代表作約80点)
何といっても、見どころは、若冲が京都・相国寺に寄進した「釈迦三尊像」3幅と「動植綵絵」30幅が一堂に展示されていること。もともと、若冲が「釈迦三尊像」を寄進した際、「動植綵絵」と一緒に置かれるよう熱望し、そのようになっていたものを、後に、「動植綵絵」が宮内庁に献上され、以来、両者同時の展示はないままに。だからこの度の、一挙に3幅+30幅は、まさに奇跡。(30幅ある、動植綵絵も、大変貴重なもので、かつて一度に全部展示された例がないんですって)
史上最大規模の若冲展、では、まいりますよ~。

入場すると、すぐに京都・鹿苑寺(金閣寺)大書院障壁画の襖絵が何枚か並んでいます。
こちらは、大書院一之間の襖絵、「葡萄図襖絵」 宝暦9年(1759)
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二之間の松鶴図もよかったし、三之間の芭蕉叭々鳥図、四之間の菊鶏図も空間が生かされた、素晴らしいもので、さすが鹿苑寺、若冲とは、と驚きました。

続くコーナーで観たのは、「隠元豆・玉蜀黍図」 江戸時代18世紀 和歌山・草堂寺
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画像が小さいので、わかりにくいとは思いますが、あちこちに小さな昆虫が。右下の蛙も、実によく描き込まれています。好きな作品。

それから雅やかな美しい色調の作品が続きます。
旭日鳳凰図 宝暦5年(1755) 宮内庁三の丸尚蔵館
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見事なまでに美しいです。細かな筆致には驚くばかり。大きな作品なのに、隅々に至るまで緻密。近くで拝見すると、その細かさに圧倒されます。
孔雀鳳凰図 宝暦5年(1755)頃 岡田美術館
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こちらも素晴らしかった。

ユーモラスな作品もあるんです。
「虻に双鶏図」 江戸時代(18世紀) 細見美術館
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おもしろいでしょう?

花鳥版画もありました。薔薇や鸚哥、鸚鵡のモチーフが可愛らしく、いいなぁと思うものばかり。色合いも言うことなし!

そして、B1から1Fへ。あの33幅が一堂に並ぶギャラリーです。
すさまじい混み方に辟易。どうやって観ればよいのやら。列に並んではみましたが、まるで進みません。人の流れに逆らって、逆側からまわると、いくらかましでしたが。。。頑張って、一通り、なんとか観賞しました。

動植綵絵 老松鸚鵡図 宝暦11年(1761)以前 宮内庁三の丸尚蔵館
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動物綵絵 老松白鳳図 明和3年(1766)頃 宮内庁三の丸尚蔵館
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羽のハート形。江戸時代にはハートなんて、なかったですよね。なのに、まぎれもない、可愛いハート形!すごいとしか言えません。

もっともっとご紹介したいのですが、画像がなくて。<(_ _)>

それにしても、あまりの混雑ぶりに、くたくた。休憩したかったですが、置かれているソファには空なし!!先へ進むしかありません。(>_<)

2Fは 「動植綵絵」以降の若冲の作品、また米国収集家による若冲の作品が展示されています。
有名な「百犬図」や「象と鯨図屏風」などありましたが、私が惹かれたのは、「蓮池図」 寛政2年(1790)(ネットからお借りしました)
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この作品の雰囲気、いいでしょう? 大阪・西福寺 重要文化財とありました。
米国収集家がコレクションを始めるきっかけとなった作品、「葡萄図」も展示されていました。

すごいなぁと思ったのは、「鳥獣花木図屏風」江戸時代18世紀 エツコ&ジョー・プライスコレクション(ネットからお借りしました)
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画像からはいまいち、伝わらないと思うのですが、タイル画?モザイク画?のように見えるんです。1cm×1cm四方の升目を一つ一つ彩色して描いています。こんな風な日本画、初めて!いろんな動物が描かれていて、おもしろいこと。江戸時代に動物園ってなかったですよね。

究極の若冲ワールド、感動しました。
今回、会期はたった一ヶ月、4月22日から5月24日(火)まで。出来れば早めに入館して、まずは1F のあの場所へ急がれた方がよいかと。ほんとにイチオシです!
ご参考までに。
TOKYO MX 東京初の展示品も  江戸時代の絵師「若冲展」が開幕
https://www.youtube.com/watch?v=yc3Ol82rniA
by b_neige | 2016-05-03 06:45 | 展覧会など | Comments(0)

渋谷・西武 写真展「「THE SAPEUR ーコンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマンー」(2016.04.06)

渋谷・西武で写真展「THE SAPEUR ーコンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマンー」を観てきました。
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SAPEUR(サプール)って、造語です。フランス語で「おしゃれでエレガントな人たちの社会」という意味の「Société des ambianceurs et des personnes élégantes」の頭文字をとって「SAPE(サップ)」。「サップを楽しむ人」=「サプール」です。

ファッショナブルで見栄っ張りな?紳士集団「サプール」は、色鮮やかな高級スーツを完璧に着こなし、葉巻やステッキなどダンディな小物を手に、華麗なステップやポーズを決めながら街を闊歩し、優雅さを競います。何のため?争いを好まず、エレガントであること、非暴力を貫くことが平和のアピールになるんだそうです。素敵な格好をして、心がサップであふれていれば、不要なことを考える隙間がないそうで。

コンゴって、貧しい国ですよ。平均月収は3万円程度ですって。それなのに??ポリシーなんですね、感心します。
 
会場内、撮影自由。
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全て、沖縄出身の写真家、茶野邦雄さんによるもの。
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写真から彼等の熱い心意気が、バンバン伝わってきます。人生を楽しく!それ、同感。
by b_neige | 2016-04-07 07:08 | 展覧会など | Comments(0)

六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)

フェルメールとレンブラント-17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展を観てきました。
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今年に入って、他にも、江戸博ではダ・ヴィンチ展、上野の東美ではボッティチェリ展とおもしろそうな美術展が相次いで開催中。まずは、仕事先の広尾から近い六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで行われている、このフェルメール・レンブラント展を訪れた次第。

概要ですが、展示作品は60点、17世紀(オランダ黄金時代)に活躍した画家たちの作品になります。フェルメール、レンブラント、フランス・ハルス、ヤン・ステーンをはじめとする48作家とありました。
当時、絵画は一般市民の手に入るような大きさや価格で出回っていて、海外からの訪問者は、オランダのごく一般の家庭にさえも多くの絵が飾られているのに驚いたそうです。
ニューヨークのメトロポリタン美術館、ロンドンのナショナル・ギャラリー、アムステルダム国立美術館と個人所蔵の作品。

では第1部から観て行きましょう。
ハールレム、ユトレヒト、アムステルダム(いずれも都市名) オランダ黄金時代の幕開け
イタリアやフランスで修行をした画家たちがオランダに戻り独自の絵画を展開し始めます。
ヘンドリック・ホルツィウス「苦悩するキリスト」
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1607年、油彩・カンヴァス(ユトレヒト中央美術館)
ホルツィウスはドイツ出身の画家ですが、古代彫刻やミケランジェロから着想を得た理想的人体を描きました。イタリア研究の成果が一目瞭然です。

第2部Part1 風景画家たち
理想的ではない、身近な地元の風景を描いた作品。
オランダは土地が痩せていて、穀物の栽培には不向きなことから、牧畜が盛んになり、特に牛が大事にされていました。重要な産業として栄えた牧畜業を誇りにして、牛を描いた作品が人気でした。
アールベルト・カイブ「牛と羊飼いの少年のいる風景」
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1650-60年、油彩・カンヴァス(アムステルダム美術館)

Part2 イタリア的風景画家たち
イタリアで学んだオランダ出身の画家たちの作品。
太陽が燦燦と輝く理想的な風景画、明るい陽光や、古代遺跡などオランダの風景とはひと味違うイタリア風の風景画が好まれました。
ヤン・バプティスト・ウェーニクス「地中海の港」
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1650年頃、油彩・カンヴァス(個人蔵)
ウェーニクスはイタリアで4年間を過ごしました。実在の景色ではなく、彼の記憶に基づくものだそうです。

第2部 Part3 建築画家たち
画家の数は少ないものの、オランダで発達した分野とか。教会建築内部の絵画。
当時、教会は社交場だったそうです。それをよく表す作品がエマニュエル・デ・ウィッテ「ゴシック様式のプロテスタント教会」
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1680-85年頃、油彩・カンヴァス(アムステルダム国立美術館)

第2部 Part4 海洋画家たち
海洋貿易王国であったオランダ。船舶は重要な交通機関でした。大きな貿易船、軍艦を描いた作品、庶民の漁船を描いた作品(にしん漁)など。
コルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲン「港町の近くにて」
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1615年-20年頃、油彩、板(アムステルダム国立美術館)

第2部 Part5 静物画家たち
静物画はオランダ絵画の神髄だそうです。実物そっくりに描くよう求められました。
フローリス・ファン・スホーテン「果物のある静物」
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1628年、油彩・板(個人蔵)
また、海洋貿易で国が豊かになり、漆器や陶磁器など、絵画のモチーフは豪華になりました。オランダには世界中から珍しいものが集まってきていたことが分かります。

第2部 Part6 肖像画家たち
風景画や静物画より低いランクではありましたが、依頼者は富裕な新興市民や一般市民で、自らの肖像を後世に残すことを望みました。
フランス・ハルス「ひだ襟をつけた男の肖像」
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1625年、油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
窓越しにモデルを見ている印象を与える為、楕円の枠組みの中に人物を描いています。
イサーク・リュティックハイス「女性の肖像(エリザベート・ファン・ドッペン)
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1655年、油彩・カンヴァス(ロッテルダム美術館)
同じく「男性の肖像(ピーテル・デ・ランゲ)」
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1655年、油彩・カンヴァス(ロッテルダム美術館)
上記の2枚共に、とても優雅で上品な作品でした。
レンブラントの弟子で最も成功した画家フェルディナント・ボルによる肖像画もありました。

第2部 Part7 風俗画家たち
当時の庶民の日常生活がうかがえる作品が並びます。
ここで、やっとフェルメールの作品が!
ヨハネス・フェルメール「水差しを持つ女」
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1662年頃 油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
この作品、数少ないフェルメールの作品の中でも大変完成度の高い作品なんだそうです。メトロポリタン美術館の作品集の表紙を長年飾っているのがその証拠。本邦初公開ですって!
窓を開ける、その一瞬を捉えた作品。
窓も素敵だし、洗面器にテーブルのテペストリーが赤く反射している様も素敵。白いベールの光と影の陰影もきれい。女の人のお顔立ちもいいし、フェルメール独自のウルトラマリンのスカートもきまってます。バックの白い壁に、清涼な、透明感のある光が射して、女の人が神々しく見えますね。
静かで上品な絵、よかったです。
(場内、そう混んでませんでした。絵の前でしばらく立ち止まれます)

風俗画家たちのコーナーでもう一枚ご紹介します。
ヘラルト・テル・ボルフ(2世)「好奇心」
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1660-62年頃、油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
この画家さんの絵、以前「マウリッツハイス美術館展」で観たことを思い出しました!
cf : 東京都美術館 マウリッツハイス美術館展(2012.08.07)
あの時は、「手紙を書く女」でした。上品な作品で好きでしたが、「好奇心」は可愛らしい感じ。

第3部 レンブラントとレンブラント派
彼と彼の弟子たちの作品になります。
レンブラント・ファン・レイン
「ベローナ」
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1633年、油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
レンブラントは歴史画家として出発しました。その後肖像画家として有名になりますが、歴史画家としても同時期に多くの傑作を残しました。
この戦いの女神「ベローナ」は、雄々しい鎧や盾で武装しているものの、表情はとても穏やかで柔和。
ただ、お顔が、あまりに平凡な気がするのですが。。。それにも意味があるのでしょうか。

このコーナーには、へラルト・ダウの「窓際でランプを持つ女(好奇心の寓意)」1660年頃、油彩・板(アムステルダム国立美術館)という小さいですが(22cm×17cm)、大変愛らしい作品もあって楽しめました。
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炎の光が絶妙です。

それと、レンブラントの一番弟子でもあったカレル・ファブリティウスの作品が2枚ありました。
   * カレル・ファブリティウスはレンブラントの工房で学んだ後、デルフトでの弾薬庫の火薬爆発事故に巻き込まれ、32歳の若さで急逝。爆発で作品の大半が失われ、現存するのは10点余りとされます。
そのカレル・ファブリティウスの自画像になります。「帽子と胴よろいをつけた男」
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1654年、油彩・カンヴァス(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)
自画像を兵士として描くというアイデアはレンブラントから。
また、ファブリティウスは、光の取り扱い方に独自の様式を開いたとされます。
レンブラントが光と影のコントラストを用いて、物語性を強調したのに対し、ファブリティウスは静かで均等な光で構図を満たしました。

第4部 オランダ黄金時代の終焉
ギリシャ・ローマ時代の古典的な主題が復活し、古典主義に。農民や市井の人々ではなく、優雅で華やかな男女が描かれるようになっていきます。

以上です。六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリー、昔一度行ったことがありましたが10年程前で、今回、行き方にとまどいました。なかなか入口にたどり着かないところが、ちょっとね。(笑)
思ったより混んでませんでした。3月31日(木)まで。おススメです。
by b_neige | 2016-02-19 16:54 | 展覧会など | Comments(1)

箱根・仙石原 ポーラ美術館(2015.11.08)

雨を避けて入ったポーラ美術館。
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周辺の紅葉はとてもきれいでした。美術館に隣接する森の遊歩道も、紅葉が美しいし、歩きたかったのですが、何しろ本格的な雨。断念した次第…。(まっ、そういう時もあります)

さて、ポーラ美術館ですが、この秋から来年の3月13日までの会期中、「自然と都市」というテーマで印象派からエコール・ド・パリまでの作品が展示されています。(約70点)
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ではさっそく観賞~。
第1章: 自然へのアプローチ:観察と写実
それまでのアカデミズム絵画から一変。19世紀の中頃、フランスでは社会の変革、産業の発達に伴い、美術の分野でも新しい動きが見られるようになります。それまで低いジャンルの絵画とみなされていた風景画を中心に、クールベやコローが台頭。自然を忠実に描き、ブルジョワ階級の人々に受け入れられていきます。モネは自然から直接受けた感覚的な印象を重要視し、印象派の中心的な存在になっていきます。
第2章: 自然と都市の交差:近代化する自然
次第に変化していく郊外の風景。19世紀後半になると、人々と自然との関わり方に変化がみられます。
おもしろいと思った作品は、キスリング「風景、パリ‐ニース間の汽車」1926年 油彩/カンヴァス
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この企画展の目玉と思われる作品 クロード・モネ「散歩」1875年 油彩/カンヴァス
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豊かな自然が描かれています。
同じくクロード・モネ「花咲く堤、アルジャントゥイユ」1877年 油彩/カンヴァス
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石灰の産地であったアルジャントゥイユは、もとは葡萄畑が広がる、のどかな小村でしたが、大量の石灰をパリに供給するための採石場が次々に建設され、工場も数多くつくられました。中でも、大きな産業となったのは、鉄工所。1860年代にはフランス有数の製鉄会社の一つに成長しました。その一方、アルジャントゥイユは、パリから程近い行楽地であり、週末には多くの人々(都市部のブルジョワたち)が訪れたのです。
モネの他、シスレーやルノワールもこの町を訪れ絵画制作を行ないました。
* モネたちが憧れたアルジャントゥイユという理想郷は次第に時代の波に飲まれ工業地帯になってしまうのですが、現在は自然環境の整備が積極的になされ、緑豊かな公園や広場が出来て、昔日の面影を取り戻しつつあるそうです。
第3章: 理想郷としての自然:理想と憧れ
印象派に続くポスト印象派の画家たちは、ありのままに自然を描くことから距離を置き始めます。
ポール・ゴーギャン「小屋の前の犬、タヒチ」1892年 油彩/カンヴァス
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赤い屋根が印象的です。
ピエール・ボナール「りんごつみ」1899年頃 油彩/カンヴァス
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この作品は「山羊と遊ぶ子供たち」1899年頃 油彩/カンヴァスと対になる作品。
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第4章: 風景の記憶:風景に刻まれた時間
ここではロシアで生まれ、世界各地を転々としたシャガールの作品が圧巻でした。
マルク・シャガール「私と村」1923‐1924頃 油彩/カンヴァス
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マルク・シャガール「町の上で、ヴィテブスク」1915年 油彩/厚紙(カンヴァスに添付)
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第5章: パリの諸相:近代都市の肖像
セーヌ県知事であったオスマンの改造計画で、パリは近代都市へと変貌をとげます。20世紀に入ると、エッフェル塔など新しい建造物や整備された公園、都市に暮らす人々を題材とした作品が見られます。
ラウル・デュフィー「パリ」1937年 油彩/カンヴァス
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エッフェル塔、エトワール凱旋門、マドレーヌ寺院、オペラ座、モンマルトルのサクレ・クール寺院、ノートル・ダム大聖堂などパリの名所が軽いタッチで散りばめられて、おもしろい作品。

レオナール・フジタ(藤田嗣治)「少女と猫」1926年 油彩/カンヴァス
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この作品は1968年以来の公開だそうです。ポーラ美術館の新収蔵作品になります。

絵画に表現された自然と都市のかかわり。風景が変容していく過程が作品を通して、分かり易く展示されていました。

雨の一日の締め:至福のティータイム
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雨のお陰で、思いがけず、のんびり名画を楽しみ、優雅な午後を過ごせたわけです。
箱根・2日目に続きます
by b_neige | 2015-11-11 07:11 | 展覧会など | Comments(0)

世田谷美術館 金山康喜のパリ-1950年代の日本人画家たち(2015.08.13)

友人の紹介を受けて、世田谷美術館の企画展「金山康喜のパリ 1950年代の日本人画家たち」を観てきました。
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東京大学で経済学を学び、ソルボンヌの法学部に留学という、画家としては型破りな経歴を持つ、金山康喜さん。
金山さんは東京大学大学院卒業後、戦後初の留学生として、経済を学ぶ目的でパリに渡ります。
そもそも何故、絵画制作をと思いますが、やはり東大で学んでいた田淵安一(美術史学科)と知り合ったことによるそうです。
昨年、鎌倉で観た、田淵安一さんの回顧展を思い出しました。
cf : 神奈川県立近代美術館 鎌倉 「田淵安一展 知られざる世界」(2014..09.10)

パリ留学も田淵と一緒。勉学の傍ら、絵画制作(油絵)を続けるという日々。1953年には、アンデパンダン展に出品した作品(静物)がフランス政府の買い上げとなり、気鋭の若手画家として期待され、注目を集める存在になっていきます。
ところが、29歳の時、結核に。大手術を経て、療養し、快方に向ったものの、一時帰国した数ヵ月後、突然亡くなってしまいます。享年33歳。パリのアトリエには下絵を施されたカンヴァスが沢山残されていたそうです。
(生前愛用されていたスケッチブックやパレット等も展示されていました)

今回の企画展は、金山さんの作品約70点と、同時代をやはりパリで過ごした13人の画家たち(先輩格の藤田嗣治、荻須高徳をはじめ、田淵安一、野見山暁治等)の作品約70点をあわせた展示内容。金山さんの作品は第1部:高校・大学時代から新制作派時代1943-1950と第2部:パリ時代1951-1959から構成されています。

パリ時代の作品ですが、パリの風景をスケッチした作品はそんなに見当たりません。ほんとに数枚程度。それも、パリと言えば、思い浮かぶようなノートルダムやら、モンマルトルやら、そんな観光スポットを描いた作品じゃないんです。多分、普段目にされていたような、何気ない街角の風景。。。
圧倒されたのは、テーブルに置かれた瓶などを描いた静物画の数々です。ブルーを基調とした静かな作品が並んでいます。研ぎ澄まされたような洗練された美しさを感じました。独自の世界観を持った作品、素敵な絵でした。あまり拝見する機会のない金山さんの作品ですが、この日、実際に間近で拝見出来、嬉しかったです。
以下、何枚か、ご紹介しますね。
*上記のポスターに使用されている作品は、「静物0[鏡の前の静物]」1956 油彩、カンヴァス富山県立近代美術館蔵」

パリ時代以前の作品から。「静物 [レモンとフライパンのある静物]」1951 油彩、カンヴァス 個人蔵
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「静物 [ロウソクのある静物]」1951年頃 油彩、カンヴァス 三重県立美術館
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パリ時代から。「アイロンのある静物」1952 油彩、カンヴァス 東京国立近代美術館
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サロンドートンヌで初入賞した作品になります。

「静物 [コーヒーミルと時計のある静物]」1954 油彩、カンヴァス 個人蔵
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珍しく背景が白い作品もありました。「静物V [水差しのある静物]」1956 油彩、カンヴァス 富山電気ビルディング株式会社
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実は、この日は午後からの、洋画家の大長老、野見山暁治さんの講演会にも出席しました。
この企画展の1950年代の日本人画家たちの中にもとりあげられている、野見山さん、本来なら今頃は九州のアトリエで制作活動に取り組まれているのだそうですが、パリ時代の金山さんを知る唯一の生き証人?ですものね、「パリの異邦人たち-カナヤマのことなど」と銘打ってのお話、楽しかったです。これで3回目ということでしたが(葉山、富山、そして今回、世田美で)、貴重なお話が伺えました。
1950年代というのは、洋画を志す者にとって、画期的な年代だったそうです。先生は黒船にたとえて、西洋のまぎれもない本物の洋画を直接目にすることがようやくかなった躍進的な年代だった、と懐古されていました。

11時頃から2時間ほど、絵画観賞、その後併設のレストラン「ル・ジャルダン」で食事を取り、3時から5時まで講演会、帰宅したら、6時をまわっていました。一日、金山さんと付き合いましたが、いい余韻が残りました。
by b_neige | 2015-08-13 21:25 | 展覧会など | Comments(6)


フランス語は趣味です。フランス人に日本語を教えていましたが’17.6月より中断中(教師歴14年)。 鎌倉歴はある方に言わせると初心者だそうで...。(汗)


by b_neige(しらゆき)

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