人気ブログランキング | 話題のタグを見る

六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)

フェルメールとレンブラント-17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展を観てきました。
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_1193424.jpg
今年に入って、他にも、江戸博ではダ・ヴィンチ展、上野の東美ではボッティチェリ展とおもしろそうな美術展が相次いで開催中。まずは、仕事先の広尾から近い六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで行われている、このフェルメール・レンブラント展を訪れた次第。

概要ですが、展示作品は60点、17世紀(オランダ黄金時代)に活躍した画家たちの作品になります。フェルメール、レンブラント、フランス・ハルス、ヤン・ステーンをはじめとする48作家とありました。
当時、絵画は一般市民の手に入るような大きさや価格で出回っていて、海外からの訪問者は、オランダのごく一般の家庭にさえも多くの絵が飾られているのに驚いたそうです。
ニューヨークのメトロポリタン美術館、ロンドンのナショナル・ギャラリー、アムステルダム国立美術館と個人所蔵の作品。

では第1部から観て行きましょう。
ハールレム、ユトレヒト、アムステルダム(いずれも都市名) オランダ黄金時代の幕開け
イタリアやフランスで修行をした画家たちがオランダに戻り独自の絵画を展開し始めます。
ヘンドリック・ホルツィウス「苦悩するキリスト」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_1654193.jpg
1607年、油彩・カンヴァス(ユトレヒト中央美術館)
ホルツィウスはドイツ出身の画家ですが、古代彫刻やミケランジェロから着想を得た理想的人体を描きました。イタリア研究の成果が一目瞭然です。

第2部Part1 風景画家たち
理想的ではない、身近な地元の風景を描いた作品。
オランダは土地が痩せていて、穀物の栽培には不向きなことから、牧畜が盛んになり、特に牛が大事にされていました。重要な産業として栄えた牧畜業を誇りにして、牛を描いた作品が人気でした。
アールベルト・カイブ「牛と羊飼いの少年のいる風景」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16542211.jpg
1650-60年、油彩・カンヴァス(アムステルダム美術館)

Part2 イタリア的風景画家たち
イタリアで学んだオランダ出身の画家たちの作品。
太陽が燦燦と輝く理想的な風景画、明るい陽光や、古代遺跡などオランダの風景とはひと味違うイタリア風の風景画が好まれました。
ヤン・バプティスト・ウェーニクス「地中海の港」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16544133.jpg
1650年頃、油彩・カンヴァス(個人蔵)
ウェーニクスはイタリアで4年間を過ごしました。実在の景色ではなく、彼の記憶に基づくものだそうです。

第2部 Part3 建築画家たち
画家の数は少ないものの、オランダで発達した分野とか。教会建築内部の絵画。
当時、教会は社交場だったそうです。それをよく表す作品がエマニュエル・デ・ウィッテ「ゴシック様式のプロテスタント教会」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_2243186.jpg
1680-85年頃、油彩・カンヴァス(アムステルダム国立美術館)

第2部 Part4 海洋画家たち
海洋貿易王国であったオランダ。船舶は重要な交通機関でした。大きな貿易船、軍艦を描いた作品、庶民の漁船を描いた作品(にしん漁)など。
コルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲン「港町の近くにて」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16551718.jpg
1615年-20年頃、油彩、板(アムステルダム国立美術館)

第2部 Part5 静物画家たち
静物画はオランダ絵画の神髄だそうです。実物そっくりに描くよう求められました。
フローリス・ファン・スホーテン「果物のある静物」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16553357.jpg
1628年、油彩・板(個人蔵)
また、海洋貿易で国が豊かになり、漆器や陶磁器など、絵画のモチーフは豪華になりました。オランダには世界中から珍しいものが集まってきていたことが分かります。

第2部 Part6 肖像画家たち
風景画や静物画より低いランクではありましたが、依頼者は富裕な新興市民や一般市民で、自らの肖像を後世に残すことを望みました。
フランス・ハルス「ひだ襟をつけた男の肖像」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16555846.jpg
1625年、油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
窓越しにモデルを見ている印象を与える為、楕円の枠組みの中に人物を描いています。
イサーク・リュティックハイス「女性の肖像(エリザベート・ファン・ドッペン)
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16562372.jpg
1655年、油彩・カンヴァス(ロッテルダム美術館)
同じく「男性の肖像(ピーテル・デ・ランゲ)」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16564268.jpg
1655年、油彩・カンヴァス(ロッテルダム美術館)
上記の2枚共に、とても優雅で上品な作品でした。
レンブラントの弟子で最も成功した画家フェルディナント・ボルによる肖像画もありました。

第2部 Part7 風俗画家たち
当時の庶民の日常生活がうかがえる作品が並びます。
ここで、やっとフェルメールの作品が!
ヨハネス・フェルメール「水差しを持つ女」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16571473.jpg
1662年頃 油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
この作品、数少ないフェルメールの作品の中でも大変完成度の高い作品なんだそうです。メトロポリタン美術館の作品集の表紙を長年飾っているのがその証拠。本邦初公開ですって!
窓を開ける、その一瞬を捉えた作品。
窓も素敵だし、洗面器にテーブルのテペストリーが赤く反射している様も素敵。白いベールの光と影の陰影もきれい。女の人のお顔立ちもいいし、フェルメール独自のウルトラマリンのスカートもきまってます。バックの白い壁に、清涼な、透明感のある光が射して、女の人が神々しく見えますね。
静かで上品な絵、よかったです。
(場内、そう混んでませんでした。絵の前でしばらく立ち止まれます)

風俗画家たちのコーナーでもう一枚ご紹介します。
ヘラルト・テル・ボルフ(2世)「好奇心」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_17153019.jpg
1660-62年頃、油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
この画家さんの絵、以前「マウリッツハイス美術館展」で観たことを思い出しました!
cf : 東京都美術館 マウリッツハイス美術館展(2012.08.07)
あの時は、「手紙を書く女」でした。上品な作品で好きでしたが、「好奇心」は可愛らしい感じ。

第3部 レンブラントとレンブラント派
彼と彼の弟子たちの作品になります。
レンブラント・ファン・レイン
「ベローナ」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_16574140.jpg
1633年、油彩・カンヴァス(メトロポリタン美術館)
レンブラントは歴史画家として出発しました。その後肖像画家として有名になりますが、歴史画家としても同時期に多くの傑作を残しました。
この戦いの女神「ベローナ」は、雄々しい鎧や盾で武装しているものの、表情はとても穏やかで柔和。
ただ、お顔が、あまりに平凡な気がするのですが。。。それにも意味があるのでしょうか。

このコーナーには、へラルト・ダウの「窓際でランプを持つ女(好奇心の寓意)」1660年頃、油彩・板(アムステルダム国立美術館)という小さいですが(22cm×17cm)、大変愛らしい作品もあって楽しめました。
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_10382122.jpg
炎の光が絶妙です。

それと、レンブラントの一番弟子でもあったカレル・ファブリティウスの作品が2枚ありました。
   * カレル・ファブリティウスはレンブラントの工房で学んだ後、デルフトでの弾薬庫の火薬爆発事故に巻き込まれ、32歳の若さで急逝。爆発で作品の大半が失われ、現存するのは10点余りとされます。
そのカレル・ファブリティウスの自画像になります。「帽子と胴よろいをつけた男」
六本木・森アーツセンターギャラリー フェルメールとレンブラント展(2016.02.18)_e0245404_10385720.jpg
1654年、油彩・カンヴァス(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)
自画像を兵士として描くというアイデアはレンブラントから。
また、ファブリティウスは、光の取り扱い方に独自の様式を開いたとされます。
レンブラントが光と影のコントラストを用いて、物語性を強調したのに対し、ファブリティウスは静かで均等な光で構図を満たしました。

第4部 オランダ黄金時代の終焉
ギリシャ・ローマ時代の古典的な主題が復活し、古典主義に。農民や市井の人々ではなく、優雅で華やかな男女が描かれるようになっていきます。

以上です。六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリー、昔一度行ったことがありましたが10年程前で、今回、行き方にとまどいました。なかなか入口にたどり着かないところが、ちょっとね。(笑)
思ったより混んでませんでした。3月31日(木)まで。おススメです。
Commented by desire_san at 2016-03-17 17:05
こんにちは。
私も『フェルメールとレンブラント』展を見てきましたので、作品の画像とご説明読ませていただきその絵画が目に浮かんできて、この美術展を再体験することができました。今まで見たことのなかったフェルメールやレンブラントの傑作やヤン・ステーンやデ・ホーホなどハウス17世紀オランダの絵画をたくさん見られたのもよかったと思いました。

私はこの展覧会の目玉といえるフェルメールの『窓辺で水差しを持つ女』とレンブラントの『ベローナ』について少し掘り下げて、魅力の本質菅どこにあるのかを考察してみました、読んでいただけると嬉しいです。ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by b_neige | 2016-02-19 16:54 | 展覧会など | Comments(1)

フランス語は趣味です。フランス人に日本語を教えていましたが’17.6月より中断中(教師歴14年)。 鎌倉歴はある方に言わせると初心者だそうで...。(汗)


by b_neige(しらゆき)