金沢文庫 特別展「運慶」(2018.01.17)
2018年 01月 18日
今回のテーマは『鎌倉幕府と霊験伝説』。運慶と鎌倉幕府との関係、運慶仏が霊験あらたかなものとして信仰されたことに注目を置いた展示ということです。
最初にレクチャールームで学芸員さんのお話(見どころなど)を15分ほど?、伺いました。
それでは、とりあえず、目玉となる3点をご紹介しておきますね。
まずは、栃木県足利にある光得寺所蔵の大日如来坐像。
足利義兼が願主なんですが、こちらが(光得寺の)大日如来さまの胎内X線写真。
学芸員さんに教えていただいたのは、その上になんだか焼き鳥の串のようなものがついていて、それが足利義兼公の歯なんだそうで。びっくりしました。
次の仏さまは今回の展示会のポスターとしても使われている愛知県岡崎市にある滝山寺の梵天立像。
滝山寺には運慶作と伝わる3体の仏像、聖観音像&梵天像&帝釈天像がお祀りされているのですが(頼朝公の3回忌に造立)、学芸員さんがおっしゃるには、X線画像で、この梵天さまの胎内に、源頼朝公の遺髪が納められているとわかったそうです。源頼朝公の遺髪とは恐れいりました。
この梵天さま、江戸末期から明治にかけて彩色し直されたということですが、白いお肌が美しいですよね。(個人的には彩色されてない方が好みです)
像高106.5cmとありました。堂々とした仏さまです。運慶・湛慶父子作。
最後は金沢文庫・称名寺の塔頭「光明院」の大威徳明王像。
腕などが破損していまして、恐らく長い間、そのままの状態になっていたのではないでしょうか。平成10年に再発見され、18年から19年に保存修理されたところ、像の中から納入品が発見され、その中にあった奥書から、源頼家・実朝の養育係であった「大弐局(だいにのつぼね)」という方が建保4年(1216)11月、運慶に造らせたものであるということが判明したそうです。
まさに驚きの発見でしたね。
私的には、この仏さまが運慶仏だとは、あまり感じないのですが、晩年の運慶の作風で、引き締まった体つき、端正なお顔立から明らかなんだそうです。生涯瑞々しい感性で制作にあたっていたことが読み取れるそうで、運慶の真作は数が少ないことから、すごい発見であったことがわかります。
会場で、その他、印象に残ったのは、横須賀の曹源寺の十二神将。
cf : 三浦一族ゆかりの衣笠を歩く-曹源寺(2017.05.12)
確か、あの時も立派と目を見張ったのを思い出しました!
12神将のうち「巳」神将が他の神将より大きめに造られているんです。
ここで一つ疑問だったのは、それぞれの神将の頭の上に十二支の動物が付けられているのですが、どう見ても、そうじゃないでしょうという神将さまがいらして…。これは、製作当時、その十二支がよく知られておらず付けられてしまったことに由来するそうで…。(意外でした)
鶴岡八幡宮所蔵の舞楽面、瀬戸神社の舞楽面(抜頭面)も展示されていましたよ。源頼朝公が上洛した折、東大寺から賜ったものでしたよね。
横須賀・浄楽寺の運慶仏の銘札(月輪形の)と伊豆・韮山・願成就院の銘札(五輪塔形の)もありました。
それと、鎌倉・十二所、光触寺の頰焼阿弥陀三尊と縁起絵巻も!
なかなか拝見できる仏さまではないし、縁起絵巻も実物はお初だったかもしれません。嬉しかったです。
あとは、大町・教恩寺の阿弥陀三尊も、いつもははるか遠くからしか拝見できないのに、間近でよく観ることが出来て、またとない機会でした。
修禅寺の大日如来さまもいらしてました。
平素は本堂・須弥壇に安置されていて、一般には公開されてないそうです。年に一度、10日間のみ一般公開されるとか。どうりで、修禅寺には2度お参りしているけど、記憶になかったわけです。
頼家の妻辻殿発願とありました。あれ、頼家の妻って若狭の局じゃなかったって。(辻殿というのはお初)
運慶の流れ・慶派の仏師である実慶の作で、頼家公の7回忌の折造立されたものだそうです。
2人分の髪の毛が納められていたそうで、辻殿と母であった北条政子でしょうか??
会場はそれほど広くないので、疲れず観ることが出来ます。充実した内容でよかったです。