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新平家物語十四(2020.11.21)

 新平家物語十四、やっと読み終わりました。残すところあと2巻!

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表紙絵ですが、これはやっぱり国母・安徳天皇の母(清盛の娘)建礼門院かと思います。

 さて、この巻はどんな内容だったかと言うと、メインは壇ノ浦の合戦です。

彦島を出た平家ですが、残っているのは主なところで、権中納言-知盛、内大臣宗盛、能登守教経+幼き安徳天皇・建礼門院、二位の尼。指揮をとるのは、歴戦で早瀬、渦の難所、潮の漲落、その刻限など、この海峡に馴染んでいる知盛です。源氏の目を欺くため幼帝と三種の神器は密かにほかの船へ。

その間、開かれる管弦の集い。琴を奏でたのは、屋島の戦いで扇をかかげた玉虫。生死一つを誓ってあすを待つのみの一門の心は、澄みきり、もうかつて夜のような乱れがありませんでした。(覚悟のほどが伺えます)


 一方、時忠-時実親子は宗盛の内許を得た教経が差し向けた刺客にあわや討たれるところ、義経のところから戻った桜間ノ介能遠に救われます。なんとか義経から誓いの一札(幼帝と三種の神器は渡して源氏に下るという保証)が欲しい時忠は桜間ノ介を介して息子-時実を義経のもとに差し向け、自らも赤間ヶ関のかつての臨海館(宋朝の使節や高麗の客を迎えた古館)に避難。時実はかろうじて義経に会い、誓書をもらいます。(義経にしてみれば、その昔自らの窮地を救ってくれた時忠を見殺しにはできないという負い目があり、かといって、鎌倉殿をさしおいて誓書をしたためることに自責の念もあって、断ってきたのですが


 戦いを前に、義経は、屋島以降、既に平家に対して、復讐という一念を捨て去っていました。この一戦を最後に世が鎮まり諸民泰平になるなら、武門としてやむを得ず、兄頼朝をいくらかでも援け、後白河院の信任にも応えることになるだろうと。人の生涯に尊いものはいったい何か、世が泰平になったら、静と二人、花作りでもして暮らそうと、つまり位階勲爵を全く望んではいない義経なのでした。


 寿永4年(1185324日、いよいよ出陣。平軍78百艘、源軍56百艘。

梶原勢の抜け駆けから戦いは始まります。でも、陽は上っても辰ノ刻(午前8時)を過ぎたばかり、前夜の帳幕では午前中は平家方に有利な潮合いになるため、敵の仕懸りには乗らないようにし、午後からが総懸りの話だったのです。

知盛は午前中を意識し、盛んに源軍をひきつけようと様々に仕懸けていたのですが、やはりよく潮刻を熟知する義経にいささか挑み疲れていました。あせる知盛。そこへ梶原一族の船列です。してやったりと喜ぶ知盛。不慮のでき事に愕然とする義経。からくも救出された梶原一門。初戦は源軍の敗戦。


 さて、船に乗る折、目にした蟹を思い出しむずがる幼帝に、なんとか気を紛らせようと、蟹の絵を描く女院。絵が巧みな女院のこの場面、素敵でした。

そして、午後。知盛は源軍は未ノ下刻(午後3時)前後から、と見通すのですが、それより早い義経の攻撃。

応戦に遅れを生じる平軍。(昼時で休憩していた故)ここで、幼帝の様子を伺いに行っていた教経が襲われ、弟の貞重が討たれます。無謀な義経に警戒する知盛ですが、落ち着いて盛り返す平軍、この戦いも源軍の敗戦。

未の下刻になれば、潮は逆流。これを待つ義経は、平軍もそうはさせじとそれ以前に猛攻撃を起こしてくると恐れ、わざと早くから戦いを開始させ、時をかせごうとしたのですが...


 そして、待ちに待った未の下刻。源軍の総攻撃が始まります。阿波民部の四国船団も義経につきます。

戦場の条件はまだ五分、四国勢が寝返っても、源平の船数を同数にしただけと思う知盛ですが、逆潮を考え危惧します。

源軍が狙うのは帝のお座船。おとりの唐船です。そこに待つのは教経。大敵のすさまじい攻撃(矢数)。巨大な唐船を自在に走らせ、源軍に突っ込んでいきますが、それを目にして、帝を乗せる船ではないことを見抜く義経。

待ち潮に乗った源軍は俄然攻勢に転じます、桜間ノ介からは、お座船に黄旗が掲げられていることを知らされ、鵜殿隼人助操る三艘の小型な熊野舟に跳び移る義経主従。教経と義経の戦いです。巨船と巨船との海戦から波間の白兵戦へ。戦いはいよいよ終盤へ。

ひらりひらりと小舟から小舟へ逃げる義経。教経も1、2艘は跳んだのですが、義経を見失います。源軍に囲まれ、とうとう、右手で安芸大領実康の子、太郎実光の首の根をつかみ、もう片手でその弟次郎の帯際を抱き込み、海中に躍り込む教経。それっきり浮いてくることがありませんでした。

続いて教経の父-教盛の入水。ここで不覚な戸惑いを見せた宗盛。未練な主を歯がゆく思い、部下が海に突き落とすも、源軍に引き上げられ...。宗盛の子-右衛門督は父の後を追って飛び込んだのですが、やはり源運に助けあげられ、父子共に生捕りに。

残された知盛は帝の船御所へ漕ぎ急ぎ、源氏の荒武者に踏み入られる前に船上を浄め、死支度を促します。二位の尼に手をとられ、入水する安徳天皇。経盛も続きます。一門の平家人たちの覚悟の入水。女院も。ただ、女院は東国武者たちの熊手にかかり救いあげられました。

最後に残った知盛は義経と、大将同士言葉を交わし、お座船に漕ぎついた時忠に平家のあとのことを頼み、母二位の尼を追って、海中へ。

潮幸に乗って勝っただけで、二位どのや幼き帝など罪なき人々を死なせたことは本意ではなかった、という義経に、二位どのは清盛亡き後、死のみが恋しいと仰せだったので、これで往生を得た心地がするし、また、後白河院が立てた天子があることから、幼帝は生きていたとしても悲しい宿命が待つばかりであったことを諭す知盛。

この場面も読ませます。平家人知盛あはれ。


 義経の下に残されたのが神鏡と神璽。さて、鎌倉では、義経に警戒感を覚える頼朝。梶原景時の讒言も影響したのでしょう。義経に勲功を与えません。たまらず鎌倉に下り頼朝に会おうとする義経。不遇の義経。ここからは読んでいて辛いだけです。京都に追い返された義経。義経の言うこと、成すこと全て、歪曲されて頼朝に。

義経への嫉妬でしょうか。あまりに不憫な義経に涙します。

(時忠すら、義経の将来がこうなるとは見抜けず、娘の夕花を嫁がせたのです)

*あの!源行家が最後に再登場。主を思い、決起しようとする義経郎党。さて15巻です。


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by b_neige | 2020-11-22 19:44 | その他 | Comments(0)

フランス語は趣味です。フランス人に日本語を教えていましたが’17.6月より中断中(教師歴14年)。 鎌倉歴はある方に言わせると初心者だそうで...。(汗)


by b_neige(しらゆき)